要するに受け売りさんが多いってこと

さて、supermotinisiraさんに限らず、結構な数の人が

本多勝一氏は「100人も日本刀一振りで斬れる」と「中国の旅」で書いている

と思い込まれているようですが、この「100人も日本刀一振りで斬れる」という言葉は一体どこから湧いて出てきたのでしょうか。昔の人の日記とかではなく、一次資料を比較的平易に入手できるものについてもこんな調子ですから、入手困難な資料については推して知るべしですね。つまり、デマがまかり通る可能性が高い、ということ。
さて、このデマ(もうデマと断定してもよいでしょう)の発信元は誰でしょう。


井沢元彦小林よしのり共著の「朝日新聞の正義」という本があります。この中で井沢氏は以下のように発言しているそうですいます。

71年当時に、朝日新聞の記者だったジャーナリストの本多勝一氏が「中国の旅」という連載キャンペーンの中で日本軍の少尉2人が前線で敵兵の百人斬り競争をしたという記事を書き、それに山本さんが「この物語は『伝説だ』」と指摘して論争になったわけです。でも、物理的にも、歴史的な常識、戦争の常識から言っても、日本刀一振り(1本)で銃を持っている敵兵を百人も斬れるなんてことはありえないわけですよ。

ありましたね。「日本刀一振りで」と「百人も斬れる」が。これがデマの発信元でしょうか。もちろん僕が昨晩必死こいて(笑)*1引用した「中国の旅」は当時の朝日新聞のルポを後に単行本化したものからですので、朝日新聞紙上ではそういう記述があったと言えなくもありませんが(そんなわけないだろう)。もちろん「中国の旅(朝日文庫)」にはそんな「日本刀一振り(1本)で銃を持っている敵兵を百人も斬れる」なんて記述は全くありません。そもそも「刀の本数」について言及などしていませんから、これはあくまで井沢氏の想像でしかないわけですね。「刀一振り」を強調することで、この「百人斬り」そのものの存在を否定したいのでしょうか。
井沢氏がご自分の豊かな想像力を発揮されるのは結構ですが、書かれていない内容を勝手に想像されて批判されるのも迷惑ですね。もし「本多氏の発言であるかのような誤読を誘っている」のならもっと悪質ですね。まあ、読んでみればわかるのに、受け売りで本多勝一批判の材料にする受け手の問題とも言えますが。
supermotinisiraさんは多分こちら(「朝日新聞の正義」)読まれたんでしょう。

*1:最初sigmarion使って書いてたら時間かかるかかる。おまけに「點」とか「稱」とか、どう変換したものかわかんない漢字あるし。