メモ

http://www.asahi.com/national/update/0316/TKY200603160359.html
教科書売り込みの規制緩和 公取委、特殊指定廃止へ


公正取引委員会は16日、教科書の採択に絡んで出版社が教育委員会関係者らに行う営業活動を強く規制した「特殊指定」を廃止する方針を発表した。商習慣の範囲での贈答や接待、出版社が採択関係者に説明会を開いたりすることが大幅に自由化される見通しだ。資金力がある大手出版社が競争で有利になるなど、透明性が優先される教科書選びへの影響を懸念する声が出ている。
公取委は「規制緩和は時代の流れ」として、不正には国家公務員倫理法や刑法の贈収賄罪などが歯止めになるとしている。4月17日まで一般から意見を募った上で手続きを進める。
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教科書の特殊指定は1956年に告示され、具体的な禁止事項を定めた運用指針で、小中高校などの教科書採択に関連して金品の供与や接待を行うことや、供与を申し出ることなどを禁じている。「教科書では特にそのような行為を排除すべきだとの考えで指定された」(公取委取引企画課)
しかし、公取委は「教科書の売り込み競争や取引実態も変化し、利益供与などで教科書採択がゆがめられる恐れは著しく減少し、特殊指定の必要性がなくなった」として、規制の簡素化の観点から廃止するという。
指定が廃止されると、通常の商習慣の範囲内で業者が教委関係者に中元や歳暮を贈ったり、出版社が教科書を紹介する研修会などを自由に開けるようになる。
教科書の出版社で作る教科書協会は「教科書は内容で選ばれるべきなのに、出版社の資金力に影響される恐れがある」と廃止に反発している。
これに対し、公取委は一定額以上の接待・贈答を規制した国家公務員倫理法や刑法の贈収賄罪なども歯止めになる、と判断しており、「決して利益供与を奨励するわけではない」と強調している。
公取委への意見は電子メール(kyoukasho-torihiki@jftc.go.jp)などで募集する。

規制緩和は時代の流れ」って、その結果としてライブドア事件とかも起きているワケで。何でもかんでも緩和すればいいってもんじゃないと思うんだけど(そういうのって、味噌も糞も一緒にする行為だと思う)。
ちなみに、東京新聞2006年3月17日付朝刊の総合・核心面において、公取委は廃止理由について以下のように説明している。朝日の記事でも同じ事が書かれているが、こちらの方がわかり易い。

教科書採択の方法は以前に比べ透明化され、独禁法の一般の規制で十分で特殊なものは要らなくなった。利益供与で教科書採択がゆがめられる恐れも減った。利益供与などがあれば、刑法の贈収賄などで取り締まることができる」
(太字は引用者による)

で、ホントに「透明化」されているワケでしょうか??
「(贈収賄で取り締まることができる金銭的な)利益供与」だけが「採択がゆがめられる」理由ってことでもありませんよね。利益供与"以外"で採択がゆがめられるような場合はどうなるのでしょうかねぇ。それともそんな「場合」は存在しないとでも言うのでありましょうか。最近では杉並区の歴史教科書採択とか、えらく不透明でしたが。大丈夫ですかね、この認識で。


ま、それはそれとして、教科書の「特殊指定」が廃止された場合、こういうことが"一定額以内なら可能になる(=現時点では禁止されている)"ってことらしいです。

  • 教科書の採択を勧誘依頼するための金銭の提供
  • 採択関係者等の刊行物などへの過大な広告代支払い
  • 物品(教材や書籍なども含む)を贈ること
  • 宴会への招待、接待
  • 観劇、旅行、催し物などへの招待
  • 他社教科書との比較対照を公表すること
  • 他社教科書の内容を批判すること

"程度の問題"だとしても「採択関係者等の刊行物などへの過大な広告代支払い」なんて、明らかにヤバいんじゃないの?? 「他社教科書との比較対照」の公表や「他社教科書の内容を批判」ってのも、「誹謗、中傷」合戦につながりそうです(先に仕掛けるのはきっとあの教科書つくってる「会」のような気がする)。
うーん、どうなんだろ。廃止の理由であるところの「採択の透明化」についていまひとつピンとこないし、廃止それ自体のメリットも感じられないし、現時点では(なんとなくではあるけど)廃止反対ってことで。