集団自決『軍の強制』削除 沖縄戦・高校教科書検定


文部科学省は三十日、二〇〇八年度から使う高校用教科書(主に二年生用)の検定結果を公表した。第二次世界大戦沖縄戦であった集団自決について、「近年の状況を踏まえると、旧日本軍が強制したかどうかは明らかではない」として従来の姿勢を変更。旧日本軍の関与に言及した日本史の教科書には、修正を求める検定意見が付いた。
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同省は検定姿勢変更の理由を(1)梅沢氏が訴訟で「自決命令はない」と意見陳述した(2)最近の学説状況では、軍の命令の有無より集団自決に至った精神状態に着目して論じるものが多い−と説明。発行済みの教科書で、同様の記述をしている出版社に情報提供し、「訂正手続きが出る可能性もある」としている。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070331/mng_____sya_____006.shtml

「意見陳述した」から姿勢変更ってのはよくわからんなあ。まだ係争中の訴訟の一方の側の主張にすぎないと思うが。これをもって沖縄戦全体で「旧日本軍が(集団自決を)強制したかどうかは明らかではない」と教科書の記述内容に反映させてしまうのは少々拙速な気がする。

<メモ>慶良間諸島の「集団自決」 1945年3月、沖縄県座間味島渡嘉敷島慶留間島などからなる慶良間諸島に米軍が上陸。770人を超す住民の犠牲者を出した。その多くが手りゅう弾を使ったり、家族に刃物で切られたりした集団自決だったとされる。
86年、沖縄県史で自決を命令したと記述されたことに対し、元座間味島守備隊長梅沢裕さんが抗議し、命令を否定する手記が沖縄史料編集所紀要に掲載された。関東学院大学林博史教授が米公文書館で発見した45年の米軍資料には、慶留間島上陸直後の住民の聞き取りで「住民らは日本兵が米軍が上陸してきた時は自決せよと命じたと繰り返し語っていた」との記述がある。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20070331/mng_____kakushin000.shtml

座間味島で梅沢氏は自決を命令しなかったかもしれない(命令したのかもしれない)が、慶留間島では軍令があったということでいいのかな。この米軍資料が存在しているにも関わらず文科省が「旧日本軍が強制したかどうかは明らかではない」とする意味がわからないのだが。彼らの踏まえる「近年の状況」ってのは何なんだろうな。
あと、以前の日記から

安仁屋政昭・沖国大名誉教授は講演で、「部隊長の直接命令がないから、軍命による『集団自決』はない」とする同会の主張に対し、沖縄戦の戦場が、民政の機能しない戒厳令に似た「合囲地境」だったと指摘した。
「役場の幹部が『集団自決』に言及したとしても、住民が『軍命』と受け取るのが事実関係から適当。個々の命令の有無でなく、大局的にみる必要がある」として、軍政下の軍と住民の位置づけを強調した。

http://d.hatena.ne.jp/nenecoconeneco/20050805#p1

「同会」ってのは自由主義史観研究会のことね。