例の徴兵制禁止云々について

まあ、徴兵制が施行されるされない以前に、まだ憲法改正すると決まったわけでもないですから。

自民党的には、まず憲法を「変更可能なものにする」そして「実際に変更する(自衛隊を軍隊に、集団的自衛権の行使を可能に、等々)」のが当面の目標なので(ちょっと前まで「改憲論議をする」ことすらタブー視されていたわけですから、思えば遠くへ来たものです)、徴兵制禁止(案)も、そういった当面の目標をクリアするための、改憲に対してごく普通の人(そんな人は軍事や戦略・戦術知識など特に持っていないわけで)が漠然と抱く不安感を和らげる、いわゆる「ウケ狙い」のひとつに過ぎないと思います。最終的に案から削除されたとしても、そういうポーズを取っておくことは有効なのかも知れません。

ただ、ひとたび「改憲の実績」を作りさえすれば、そこから先は「現実に合わない」といったような理由で、徴兵制だろうがなんだろうが「必要なら」追加・変更していくのではないかと。

自民党サイトにある「憲法改正のポイント」には「憲法改正の発議は各議院の総議員の過半数の賛成で足りるとするべき」とか「(憲法改正の)国民投票をもっと容易に行えるように」とか書かれてます。今回改憲されたら、その後当分改憲されることはない…なんて保証はないわけで、この政党をあまり信用していない僕は心配してしまうのです。

まあ、漠然とした不安を持っていたとしても、現実に憲法改正後、徴兵制が施行されると考えている人はあまり多くないでしょう(それ以前に憲法改正そのものに現実感がないのでは)。

今のところ徴兵制が敷かれる可能性は低めのようですし、経団連奥田会長はある対談で「まだ『中国脅威論』や、短絡的な人民元切り下げ論などが見られるようですが、産業界はもう、そういう受け身の発想からは何も生まれないということに気づき始めています」と言っていたりするし、「大量破壊兵器」は結局見つかりませんでした。「憲法改正が徴兵制につながる論」にせよ「中国脅威論」にせよ「大量破壊兵器」にしてもいわゆる「オオカミ少年のオオカミ」なのかもしれません。

現代はあらゆるものがお互いを洗脳しあう社会なので、言った者勝ちなところもあるのかもしれません。結局、個人としてその発言元を信用するかどうかで、それはもうその個人の感覚によるものなのではないかと思うのです。