受信料前払いって、何年分?

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20050309AT1E0900L09032005.html
総務相NHK受信料不払い、罰則検討も必要」


麻生太郎総務相は9日の参院予算委員会で、NHK受信料の不払いが増加していることについて「払わなくても罰せられないことがこれだけ公になると、払わなくなる人が増える」と述べ、不払いに対する罰則規定の検討が必要との考えを示した。
麻生氏は「(NHK自身の改革の)結果を見た上で、どういう方法にするか考えなくてはならない」と表明。「買う時に先にください、といえば確実に取れる」と述べ、テレビなどを購入する際に前払いを義務づける案を示した。

来ましたね、罰則規定と強制的な徴収のお話。
NHK自身の改革」とやらがそもそもヌルー。NHKのサイトにある「再生に向けた改革施案」のページ(http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/kaikaku/html/p9.htm)によれば、28.8億円の役員報酬・職員給与の削減を行うそうです。職員ひとりあたりの削減額は年間約25万円、月にならすと約2万円。これだけ見るとたいそうな話みたいですが、実は、平成15年度業務報告書によれば、NHK職員の平均給与は年1200万円を越えます(給与÷職員数で単純計算、退職手当や厚生費はまた別に計上されている)。これで「改革」とは片腹痛いです。
ニッポン放送社員の平均給与が年1100万円だそうですが、放送業界給料高いよ、マジで。で、そんな高給取りのNHK職員とその家族を今後も養っていくために、年収300万円時代を生きる庶民(やや自嘲気味)の少ないお給料の中から受信料を「確実に取」る算段を考えるのだそうです、麻生総務相は。
ところで前払いするとしたら、何ヶ月分になるのでしょう。前払い期間終了後はどうなるのでしょう。BSチューナー内蔵型のテレビを購入した場合、自動的に衛星カラー契約(12ヶ月前払いなら25,520円)を結ばされてしまうのでしょうか。「買う時に先にください」と言われた時点で「払いません」と宣言したら、売ってくれなくなるのでしょうか。
自衛策として考えられるとすれば、ゲームのモニタ用として購入する(放送法32条

放送法32条(受信契約及び受信料)
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であって、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りではない。
2 協会は、あらかじめ総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から受信料を免除してはならない。
3 協会は、第一項の契約の条項については、あらかじめ総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。

における「放送の受信を目的としない受信設備」の設置の場合)ことくらいでしょうか。あらかじめ購入価格に含まれてしまう(つまり実質的値上げ)可能性はありますが。購入価格に前払い受信料が含まれてしまっている場合、受信料を支払っている人がテレビを買い換えた場合、2重払いにならないでしょうか。申告すればNHKは2重払い期間中の受信料の返還に応じてくれるでしょうか。うーむ。麻生発言漠然としすぎ。まあ、テレビなど、それほど頻繁に買い換えるものでもないのですが。

遺骨鑑定関係

http://d.hatena.ne.jp/claw/20050310 より
・・・北朝鮮の言うことだからって、なんでもかんでも厨房のようにうかつに「捏造」と決め付けると、かえって揚げ足をとられるという罠。


日本政府側は細田博之官房長官が会見で、記事発表後に吉井氏から改めて話を聞いたことを明かした上で、
「『ネイチャー』の記事は捏造されたものだ。吉井講師は『自分が言っていないことを書かれた』と言っていた」


細田発言に対し、記事を書いた『ネイチャー』のデイビッド・シラノスキー記者が初めて口を開いた。
「捏造なんてするわけがない。結果的に北朝鮮にとって有利な印象の記事になったかもしれないが、私は火葬された骨をどうやってDNA鑑定するのかに科学的な関心があり、吉井氏に電話して取材を申し込んだだけだ。彼は私の質問に対し、科学者として論理的に答えてくれた」


当の吉井氏を取材したところ――。
「政府からも、警察からも、大学からも、この件についてはコメントするなと止められている。だから話せないんだ」

で、細田官房長官の言う「Nature」が記事を捏造した根拠であるところの、吉井さんが「言っていないことを書かれた」のは記事のどの部分であったのかが気になるところです。細田発言はその部分を具体的に示していないのですが、町村外務大臣の発言に以下のようなものがありました。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000516220050223001.htm
第162回国会 外務委員会 第1号(平成17年2月23日(水曜日)) 会議録 町村外務大臣の発言(抜粋)


横田めぐみさんの遺骨とされるものの一部から別人のDNAが検出されたとする鑑定結果について、本件のネイチャー誌から取材を受けた関係者にも事実関係を確認したところ、取材においては、焼かれた骨によるDNA鑑定の困難性について一般論を述べたものであって、鑑定結果が確定的でない旨や、あるいは汚染された可能性がある旨応答した事実はなかったという返事を受けているということだけちょっと申し添えさせていただきます。

「焼かれた骨によるDNA鑑定の困難性について一般論を述べたものであって、鑑定結果が確定的でない旨や、あるいは汚染された可能性がある旨応答した事実はなかった」とのことが、細田官房長官が指摘する吉井さんが「言っていないことを書かれた」部分なのでしょうか。「Nature」の記事から該当すると思われる箇所を引用すると(カッコ内は意訳)

Nonetheless Yoshii, who has no previous experience with cremated specimens, admits his tests arenot conclusive and that it is possible the samples were contaminated.
(にも関わらず、火葬されたサンプルを分析した過去の経験がない吉井は、彼の検査は決定的ではなく、サンプルが汚染されている可能性もあると認める。)

「admits(認める)」の部分が焦点でしょうか。しかしながら、もし吉井さんがこれを「言っていない」として、彼は検査は決定的で、サンプルが汚染されている可能性はないと断言することができるのでしょうか。「焼かれた骨によるDNA鑑定」が「一般論」として困難であるのならば、いずれにせよ今回の鑑定結果の特異性が際だってしまう気がしますが。
今回の場合、鑑定結果そのものより、その鑑定結果をもとに「遺骨は偽物」と、あらかじめ用意されていた答えに沿うかのように断定してしまった政府のミス(よく言えば勇み足)であったとしか言いようがありません。時すでに遅しですが。「Nature」への「捏造」呼ばわりや、吉井さんへの口止めなど、傷口を広げているとしか考えられない対応など、かの国のことを嘲えません。